日本人のためのクリーン・ランゲージ
クリーン・ランゲージという最先端の問いかけ技法のトレーニング、個人・組織のファシリテーションを提供。
世界のクリーン・ランゲージ・コミュニティーで正式な研修を積み、個人・組織ファシリテーションの双方の認定資格を日本で初めて得たトレーナーとして、日本語及び日本文化に適応した形で各種トレーニングを提供。
代表の松田依子は、元国際弁護士としてのビジネス界での実践的な経験を積み、かつヒプノセラピストとして深層心理の仕組みについて習熟した経験を持ち、その明晰で実践的なプログラムときめ細やかな指導には定評があります。
メタファー(イメージ・比喩的な表現)への注目
<メタファーは、クリーン・ランゲージという技法の中核です>
前述したように(リンクをはる)、デイヴィッド・グローブは、彼のキャリアの初期のころの、ベトナムからの帰還兵に対してのトラウマ・ワークを行なっていた時に、クライアントは自分の体験を表現するために自然にメタファーを用いることに注目し、メタファーに対して直接的に働きかける技法として、クリーン・ランゲージを作り上げました。
その意味で、「メタファー」は、この技法が働きかける主要な「内容(コンテンツ)」ということできます。
<現代におけるメタファーの意義>
メタファーは、隠喩や暗喩ともいい、伝統的には修辞技法、文章技巧のひとつとされており、言語においては、物事のある側面を、より具体的なイメージを喚起する言葉で置き換え、簡潔に表現する機能を持っています。
しかし、クリーン・ランゲージにおいて注目していくメタファー(イメージ)とは、通常私たちが詩や小説を作るときに用いるような、修辞的な表現のためのものではありません。
近年の認知言語学においては、我々の根本的な認知能力のうちのひとつである、と捉えなおされました。メタファーは、単に言語の問題にとどまるというよりも、もっと根源的で、空間の中に身体を持って生きている人間が世界を把握しようとする時に避けることのできないカテゴリー把握の作用・原理なのだと考えられるようになってきているのです。
1980年に認知言語学者であるジョージ・レイコフと、マーク・ジョンソンは、その著書「レトリックと人生 (Metaphors We Live By)」において、「メタファーの本質とは、ある事柄を他の事柄を通じて理解して理解し、経験することである」と定義づけた上で、 メタファーは、人間の思考過程(Thought processes)の基盤として、「言語活動のみならず、思考や行動にいたるまで、日常の営みのあらゆるところにメタファーは浸透している」と指摘し、多数の資料を提示しつつ分析することにより、従来のメタファー観を大きく変えました。
実際の研究によると、私たちは、日常会話の中で1分間につき、平均6つのメタファーを使うということが実証されています。
(例)
明らかなもの
埋め込まれたもの
具体化したもの
ジェスチャー
メタファーは、<言い表せないものに形を与えます>。動物、建物、植物など、既に形のあるものを表現するのは簡単です。でもセッションでは、例えば、「決断すること」や「リーダーシップをとる」こと、また「自信を持ちたい」などといったより抽象的な話になると、クライアントはほとんどの場合、彼らに起きていることを表現するために、メタファーを使って表現するようになるのです。
メタファーには形があるからこそ、<それらは変化し得るのです>。例えば、薄暗い雲は空を横切ることができますし、動物は走ることができ、トンビは空高く飛べます。グルグル回っているお皿は下ろして積み上げることができるし、カギはドアを開けられる……などなど。変化はふさわしい条件が生じたときに、自然に自発的に起こります。人のメタファーが変化するとき、彼らの世界観は変化し、彼らの決断や行動も変化するのです
デイヴィッドは、クライアントが語っているときに自然に彼らが表現しているメタファーに注目していたのですが、クライアントは、ファシリテーターからの「クリーンな問いかけ」によって、自分の心と身体に既に存在しているものとしてメタファーを、発見・経験していくのです。
<私たちは、なぜメタファーを使うのか?>
私たちは、自然にメタファーを使うようにできている
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メタファーは、「比べる」という機能により、人の思考の非常に土台となる基盤をなしています。メタファーはあらゆる言語に見られ、非常に幼い時からメタファーを使った理解を行うということが、知られています。
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メタファーは、私たちがお互いに効率的かつ効果的にコミュニケーションができるように助けてくれます。特に、目に見えないものやことについて説明しようとする時に、これが顕著になります。クライアントは、例えば、感情を表現する時に、メタファーを使うことが多いのです。
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メタファーは我々が学んだことを概念化して思い出させることを助けるのですが、これは、顕在意識レベルでも潜在意識レベルでも起こります。すると次にこれらのメタファーが、我々の生きている世界でのガイドラインとなり、我々がどのように感情的反応したり、思考したり、行動の選択をするのかについて、影響を及ぼしていくのです。クライアントのメタファーというのは、その人自身の体験についての解釈、そしてそこに応答させる形で発達させた内部での生き方の指針を明らかにするのです。
安全性
メタファーを使うと、クライアントに対して安全に働きかけることができます。メタファーを使った間接的なアプローチは、クライアントが直接そのことに触れるにはあまりにも恥ずかしいとか、苦痛であるとか、恐れが大きいといういう事柄に対して対処することを可能にするのです。